タイマIC555【点滅速度や音程を変更】

Last modified on 07/18/2018.

【点滅速度や音程を自由に変える】

動作概要
タイマIC を用いてパルスジェネレータを作ります。タイマIC555 は多くの企業が設計しており、周辺回路の構成によって、非安定発振回路・単安定発振回路・パルス幅変調回路などを簡単に作成することが可能です。このタイマIC を用いて、発振回路を作ってみます。
タイマIC の中でLMC555 は1.5V の電源電圧で動作が保証されていますので、乾電池1 本で動作する回路を設計することも可能です。1.5V で圧電スピーカを鳴らすことができますので、ブザーや楽器として利用できます。電源電圧を上げると、LED を点滅させることも可能です。

パーツリスト
タイマIC LMC555 1個 20円
可変抵抗100kΩ 1個 40円
カーボン抵抗1kΩ 1/4W 3個 3円
カーボン抵抗10kΩ 1/4W 1個 1円
積セラコンデンサ0.1uF(104) 1個 10円
電解コンデンサ22uF 1個 10円
LED 5mm 赤2個 10円
圧電スピーカ1個 50円
タクトスイッチ1個 10円

タイマIC のデータシートから
今回利用するLMC555 のデータシートの特長を見てみると、3MHz までの無安定周波数や1.5V での動作を保証していることが分かります。また、絶対最大定格を見ると、電源電圧は15V まで利用できることが分かります。アプリケーション情報のところには、動作による回路を紹介してあり、単安定動作、無安定動作、50%デューティーサイクルオシレータなどが記載されています。
LMC555 を用いて発振回路を作るときには、無安定動作や50%デューティーサイクルオシレータを作ればいいことになります。無安定動作での周期はT = 0.693(Ra + 2Rb)C、パルスのL の時間:Tl = 0.693(Ra + Rb)C、パルスのH の時間:Th = 0.693(Rb)Cで決まることが分かります。一方、50%デューティーサイクルオシレータの周期はT = 1.4RcCで決まります。

回路の設計
ここでは、50%デューティーサイクルオシレータを利用して回路を作ります。また、発振周期を自由に変えられることと、発振を自由に開始させたり停止させたりできるように設計します。利用する回路は、データシートに記載されている50%デューティーサイクルオシレータをそのまま利用します。発振周期を変えるためには、発振周期の式から、抵抗器もしくはコンデンサを可変にすればいいことになります。バリアブルコンデンサはブレッドボードで扱いにくいので、データシートに記載の回路のRc を可変抵抗にします。このとき、可変抵抗だけだとRc = 0 になって不安定にならないように、可変抵抗器と直列に固定抵抗器を接続することにしました。発振の開始や停止については、IC のリセット端子を利用します。IC の4 番ピンのリセット端子に電源電圧を加えれば発振を開始し、リセット端子をグランドに繋ぐと発振を停止します。そのため、この端子にスイッチを取り付けることにしました。これらの設計の結果、できあがった回路は下図です。

555

点滅速度や音程を自由に変える
タイマIC555 には無安定動作の発振器や50%デューティーサイクルオシレータが簡単に作成できるようになっています。50%デューティーとはパルスのH レベルとL レベルが同じ間隔であることを意味します。パルスの一周期に対するパルス幅(H レベル)の比をデューティー比と呼びます。例えば、一周期が10 秒でパルス幅が2.5 秒のときには、デューティー比は1/4 になります。デューティー比を50%にするときには、タイマIC555 で50%デューティーサイクルオシレータを作ります。また、50%以外のときには、無安定動作の発振器を作ります。
周期と周波数は逆数の関係になっています。周期が数秒程度のときは周波数が数Hzとなり、出力をLED に接続すれば視覚認識できるようになります。周期が数ミリ秒のときは周波数が数kHz になり、出力をスピーカで確認すれば聴覚認識できるようになります。このような周期や周波数を変えることで、LED の点滅速度やスピーカから出力される音程を自由に変えることができます。LMC555 を用いた回路の場合、周期の変更は可変抵抗器で抵抗値を変えることで実現できます。

素子値の決定
まず、発振周期を決めます。今回は視覚認識できるよう、1 秒程度と考えます。この値に基づいて、データシートの周期の計算式から、素子値を決めます。
T = 1.4RcC = 1
ですので、RcC = 0.714 になります。C = 22uF にすると、Rc は32.45kΩ のように求まります。
次に、発振周期を自由に変えることを考えます。自由に値を変えるには可変抵抗器を用いれば簡単です。先ほどの計算から、RC は32.45kΩ でしたので、100kΩ の可変抵抗器を利用することにします。また、可変抵抗器が0Ω になったときに不安定な動作にならないように、可変抵抗器と直列に1kΩ の固定抵抗器を接続することにしました。その結果、発振周期の最大値と最小値は、それぞれ
T = 1.4RcC = 1.4  (100 * 10^3 + 1 * 103)  22 * 10^6 = 3.11
T = 1.4RcC = 1.4  ( 1 * 10^3 ) 22 * 10^6 = 0.0308
のように計算できますので、0.03 秒の視覚認識できない速さから、3 秒程度のゆっくりとした速さまでの発振器ができあがりました。
最後に、自由に発振を開始したり停止したりする回路を追加します。発振をさせるためには、IC の4 番ピンのリセット端子に電源電圧を加えなければなりません。逆に、発振させないときには4 番ピンをグランドに接続すればよいことになります。したがって、リセット端子にスイッチを取り付けて、スイッチを押していないときは停止するように10kΩ のプルダウン抵抗を付けました。スイッチを押せばリセット端子は電源電圧に接続されて発振を開始します。バイパスコンデンサには0.1uF の積層セラミックコンデンサ、7 番ピンと8 番ピンの間の抵抗は10kΩ にしました。
以上のようにして、発振器が設計できましたので、あとは出力にLED や圧電スピーカを接続することになります。抵抗器の抵抗値やコンデンサの容量を変えることで、任意の点滅速度や音程を作ることができますので試してみてください。


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